なぜバナナ? 「BANANA-CLOTH®」の開発秘話
世界的な人口増加により、綿やウールなど伝統的な天然繊維の生産量が減少傾向にあるなか、新たな天然繊維を探していたという「BANANA-CLOTH®」の開発担当者。そこで注目したのがバナナ畑で廃棄される“バナナの茎”でした。
茎の伐採
剥皮(外側の皮を剥ぐ)
およそ3~4メートルあるバナナの茎を伐採。フィリピンは年2回収穫期がありますが、天候などによって品質にバラつきがあり、外側の皮はほとんど使えないことも。食用バナナの副産物であるがゆえの難しさもあります。 フィリピンをはじめとする亜熱帯地域で栽培されているバナナ。バナナの実の収穫後、新芽だけを残して茎部分は伐採・廃棄されていました。バナナの食用部分は年間約1.5億トン、これに対し世界で廃棄される茎部分は、年間約10億トンにものぼります(※1)。 これはパイナップルなど他の果物と比べても圧倒的な多さです。 しかも伐採されたバナナの茎のほとんどは、燃やすか野ざらしになっていました。燃やすことで二酸化炭素の排出量は増え、放置したままだと腐敗し、その汚染水が地下水に入りこみ生活用水が使えなくなるなど、周辺に暮らす人々の生活に悪影響を及ぼしていました。
廃棄材を新たな資源へ
そこで、フィリピンのバナナ農園から茎を買い取り、新たな生地の開発に着手しました。これにより、腐敗した茎による土壌汚染の改善やバナナ農家の新たな収入源になるなど、生活環境の保護や地域の活性化にもつながります。また綿花のように繊維を取るために綿花の生育を促す為、畑に水を撒いたり、農薬を使用することはなく、環境への負荷も軽減できる原料なのです。
「バナナ×綿」で新たな天然繊維に
取り出した繊維を乾燥
バナナ畑で捨てられるバナナの茎からは、1本(約25kg)あたり500~750gの繊維を採ることができます。約10億トンの廃棄量からすると約2000万トン近く採取が可能な計算に。これは天然繊維の代表格・綿花に匹敵する量になります。 バナナの茎から採取した繊維は短く、生地にするために超長綿と混紡しました。環境にも配慮し、廃棄しても再び土に還る素材を作りたかったので、掛け合わせるのは天然繊維で。なかでも糸の強度や品質、生産効率面でベストだった“バナナ30%、超長綿70%”の混率に決定。こうして苦労の末に誕生した「バナナクロス」は、さらっとした麻のような触り心地の糸、生地に仕上がりました。
「BANANA-CLOTH®」ができるまで
「BANANA-CLOTH®」のこれから
廃棄されるバナナの茎を生地として再活用したバナナクロス。まだまだ珍しいこの生地を、 今後は家具やカーテンなど、洋服以外へのアイテムにも展開していきたいと考えています。 まずは、直接肌に触れて、気軽に試して頂ける2アイテムを。ぜひ手にとっていただき、さらにSDGsについて考えるきっかけにもなれば幸いです。
「BANANA-CLOTH®」の社会的意義
・バナナの実の収穫時にでる廃棄材の茎の活用の為、新たに水や農薬、エネルギーを使用しない。
・バナナの廃棄材は地下水の汚染、腐敗による悪臭、焼却時の二酸化炭素の発生等、環境問題に懸念があるが、その廃棄材の活用は地球環境への不可の軽減に役立つ。
・地元の人の新たな収入源になり、生活環境の改善に貢献出来る。